ジュニアに入って半年が過ぎたか、そのくらいのとき
県大会の後に新たな公式戦がはじまった。
もうすでにサッカーに誇りも楽しさも薄れ始めていた。
どんどん仲間は成長し、僕はしょうもない怪我をしてばっかでどんどん遅れている
今回の公式戦は、とある事情でコーチが普段の担当のコーチと変わり
たまに代行で見てくれるコーチが公式戦の担当になった
僕はそのコーチが結構苦手だった
なんか僕の心をのぞいているようで
嫌っているようでもあった
嫌っているとは書いたけれどある意味、からかっているという言葉のほうが近いかもしれない
そのコーチは僕に会うたびに「サッカー楽しい?」
って聞いてくる
僕は作り笑いをして楽しいですといつも返していた
子供のころの僕にとってサッカーは仕事のようなものであって夢中になってやれるようなものではなかった
サッカーが好きなやつなら休み時間でも放課後でもやっている
けど、僕は友達としょうもない遊びをしているほうが楽しかった
試合は2日にかけて行われた
特に試合の内容結果は覚えていないが、リーグ戦だったことは覚えている
僕らは途中負けてしまい得失点差で2点とらないと決勝戦に行けなくなった
僕は親に呼ばれ試合会場のはずれで怒られていた
(車のなかで怒るならまだいい、けど周りのみんなが自力で考えて頑張っているのに僕だけが親に横から何かいわれるのは本当に嫌だった)
そこに代理のコーチがやってきた。
なぜかは分からないが僕前にたっていた
僕の親は「コーチもなにか言ってください。」なんて言ってコーチの指示をまつ
僕はコーチから指導を受けて
話は終わった
そして決勝戦にいくか終るかの分け目の試合がはじまった
僕は順番でスタメンから外れて後半からの参戦だった
僕は沈んだ気持ちと自分が何とかしないとという気持ちの両方があった
試合はこちらが勝って進んでいった
けれど、まだ2点足りない
攻めてもなかなか点数が入らない
そんなとき僕がボールをもった
まだペナルティエリア、シュートのできる距離には来ていない、
けど、ゴールが見えた
僕は本能でシュートを撃ってしまった
それは一瞬の出来事だったはずなのに走馬灯のようにとても長い時間だった
ボールはゴールに入った
歓声が上がった、点が入らない空気を撃ち破ることができた
その勢いで僕は追加の得点をあげた
僕らは決勝戦の切符を手に入れたのであった
決勝戦の記憶はない
僕にはその記憶でいっぱいだった
優勝はした
他のチームが帰ってくなか僕らはトロフィーと一緒に写真を撮った
コーチは僕にトロフィーを持たせてくれた
僕は一生懸命に笑って見せた、もちろん嬉しかったけど
それからはあのコーチは僕に「サッカー楽しい」とは聞いてこなくなった
僕はそれがどんな理由であれ安心した
僕は懺悔する